#2


「fighter


生きることは戦うこと
朝の陽は合戦をつげる鐘
生きる者はみな戦士
世界という波に刃を向ける

失うことを嫌って 戦いを避けてはいけない
傷つくことを怖れて 逃げ出してはいけない
戦いを避けることは、生きることを避けること

誰かに負けることは 価値を失う事じゃなく
いつか越えたい壁を得ること
誰かを亡くすことは 友を失うことではなく
哀しみという経験を得ること

指の隙間からこぼれ落ちたものは
足もとに積み重なって
君の両足が吸い上げるのを待っている
君という名の樹を育てる 養分となるために

見失った道を追うことに囚われないで
零れ落ちるときばかりを数えるのはフェアじゃない
戦いの中で 全ては巡る
巡り、巡って、
全てが君の糧になる

君は戦える
戦うことが、好きになれる





『コレクション』

いつの間にか
鳥の羽を見つけても 拾わなくなった自分がいた

それは突然の別れ。
鳩の羽に、小さな不思議を見つけて
鴉の羽に、大きな謎を見つけて
大切に拾い集めてた、あの頃の自分との。


臆病なわたしは ひとりぼっちになるのが嫌で
あわてて家にとって帰し、
おもちゃ箱をひっくり返す。
あの頃、一番の不思議がつまっていた
色ガラスのビー玉を
見つけだして、陽に透かし
きらきら踊る、光の中に
幼い自分の影を見つける


もう一度手をつないで、帰ってきてもらうんだ。
小さな両手いっぱいに不思議を拾い集めてた、
あの頃のわたしに。





『星の砂』

心の奥底で 眠っていた金砂を
探しだして 澄んだ水にさらしてよ
その尊さを
もっともっと かけがえのない輝きにするために

夜の闇の中で 忘れられていた星々を
抱きしめて 澄んだ胸に刻んでよ
その明るさで
もっともっと 先の方まで見通せるように

うつむいてたら
横たわる影に 呑み込まれてしまうよ
自分の心しか見えない暗がりの中で 王様になれても
ひとりぼっちの舞台は 悲しい

うつむいてたら
大切な人達と はぐれてしまうよ
自分の顔しか映らない鏡の中で 美しく見えても
ひとりぼっちの笑みは 冷たい

顔をあげて
夜空を見上げて
星を探して
光を手にして

自分だけじゃない誰かも 照らしてよ
その尊い明るさで

出会う度に 星は強く輝き
降りつもった光の粒が
君の心の 金砂になるよ
瞬く、心の結晶に





『夢幻の大陸』

灰色の世界を抜け出して
空と海の間に 道を見つける
小さく丸まった星を越えて
平らな地球に 想いを馳せる

東へずっと行ったなら
そこには 世界の端があり
海は怒濤の滝となり
宇宙へと 落ちていく

西へずっと行ったなら
そこには 世界の端があり
空は朽ちぬ柱となり
異空へと 昇っていく

全ての生き物が、細かな箱に 分けられてしまう前
祈りを迷信だと、あざ笑うものが いなかった時代
人が世界を、わかりやすく 並べ直してしまう前の
輝きが暗がりを産んで、共に戦い 栄えた時代

目を閉じれば、
僕の胸の内で 息づいている

僕はまだ、
平らな地球に 住んでいる





『財宝』

ウィリーウィジー 緑の竜
深い 深い 谷底で
自慢の宝を 抱えてる。
金、銀、サファイア、エメラルド
王様よりも 金持ちだ。

ウィリーウィジー 欲張り竜
自慢の宝を 守るため
近づくやつは 皆殺し。
火を吐け
火を吐け
皆殺し。

ウィリーウィジー 孤独な竜
山ほど集めた 宝物
贈る友達 一人もいない。








『カメとイル』

こうして 手を繋いでいるのに

君と僕の歩幅は こんなに違う

三つ足してやっと 君の一歩にとどく

三つ掛けた速さで 君の一歩が進んでく



まけるなカメ。 僕の一歩。

あせるなカメ。 僕の一歩。

君の温度に合わせた 君の一歩があるように

僕の温度に合わせた 僕の一歩があるものさ



いそぐなカメ。 僕の一歩。

なくすなカメ。 僕の一歩。





◇満天◇

ビニル傘の上

ばらばら 雨粒。

街灯に透かすと

きらきらの星粒。


自転車で左へ急旋回

揺れた拍子に 雨粒がくっつく。

散らばる星が、大きくなって流れてく

ビニル傘の天の

てっぺんから 滑ってく。


旗のように誇らしく

ビニル傘に咲いた満天をかかげて

ぼくは冬の雨の中ペダルをこぐ。

跳ね散る水の軌跡を

ほうき星の尾にみたてて。





望郷

茨の野をさまよい、
凍てつく湖を渡り、
きりたつ崖を伝い、
荒ぶる海を越えて、

そうまでして 辿り着いた
楽園という場所には
家族もなく 友もなく
確かに、平穏だけは満ちていて。

全てがあると 謳われたこの場所で、
決して手に入らないものが、あることを知った。

楽園を捨て、苦難へと引き返そう
荒ぶる海を越えて、
きりたつ崖を伝い、
凍てつく湖を渡り、

そして、茨の野に 家路を探そう。
大切な人達の待つ、真実の楽園へ。





『たかくゆこう』

ぼくらのがんばるこの道は
高くつらなる階段
スタートラインはみんなばらばら
高い人も低い人も


目指すゴールは天の上
とっても遙かな天の上
辿りつけることたとえなくても
近づきたいんだあの空へ


ずうっと先に行ってる人を
羨ましそうに眺めてるより
片足あげて片足おろして
進めば視界がひらけてく


誰よりうえにのぼれるかって
そんなことより大切なのは
君の命が尽きたとき
見わたせる景色の、その広さ


今日また一歩 登るたび
まだまだ続く階段は
時々おもくのしかかるけど

まだまだ続く階段こそが
明日のぼくらの 可能性





『芦』

草を漕いで先に進もう。

道は幾とおりもあるけれど

誰かが残した足跡は辿らずに

ぼくだけのやり方で 軌跡を残そう。


いつか、歩を止め振り返ったとき。

自分の足跡から芦が芽吹き

芦は光を呼び川をつくり

その流れにのったぼくの魂は

始まりの地へ、還るのだろう。



そうして 新しくなったぼくは、

また、誰の足跡もない道を探して

草を漕ぎ、命を渡る

旅の開拓者に なるんだろう。