リトルトーク・オン・ザ・シェルフ



「つまり、僕はもうあきあきしてるんだ。」

と、コルク抜きが言った。

「へぇ… 何に?」

と、くるみ割り人形が言った。

「もちろん、毎日 毎日、ワインの栓を開けることにさ!」

と、コルク抜きが言った。

「へえ… そうなんだ」

と、くるみ割り人形が言った。

「君はどうなんだい? そろそろ、クルミを見るのも 嫌になってきたんじゃないのかい?」

と、コルク抜きが言った。

「そんなことないよ。」 と、くるみ割り人形。

「そんなことあるさ。」 と、コルク抜き。




「毎日 毎日、同じクルミばっかり割ってて 楽しいもんか。」

と、コルク抜きが言った。

「一度割ったクルミは、 もう 割れないとおもうなぁ。」

と、くるみ割り人形が言った。

「そうじゃなくて、同じようなクルミばっかりってことだよ。」

と、コルク抜きが言った。

「そりゃぁ だって、クルミはクルミだもの。」

と、くるみ割り人形が言った。




「どうして 君は飽きないの?」

と、コルク抜きが言った。

「んーとね、」

と、くるみ割り人形が言う。

「たくさんあるクルミはさ、 どのからの中身も似てるけれど、

 どれかとびきりのクルミの中には、とびきりの何かが入っている気がするんだ。

 ぼく、それを いつか見つけられたらいいなって思ってるよ。」

「そうすると 飽きないの?」

と、コルク抜きが言った。

「うん、たぶん。」

と、くるみ割り人形が言った。

「…とびきりが入ってるのって、ワインの中にも あると思う?」

と、コルク抜きが言った。

「んー、どうだろう。 ぼく、ワインは開けたことないから。」

と、くるみ割り人形が言った。

「きっと、あるな。 クルミの中のとびきりより、 うんと ずっと すごいヤツだぞ、きっと!」

と、コルク抜きが言った。

「見つかると いいねぇ。」 と、夢見るように くるみ割り人形。

「見つかると いいなぁ。」 と、夢見るように コルク抜き。


   ‥‥‥‥‥‥‥たったこれだけの 戸棚の上の、ちいさなお話し。